中小企業が選択すべき退職金制度とは

近年では退職金制度自体を廃止する会社が増加傾向にあります。一方で、確定拠出年金(iDecoなど)や金融資産への投資など、個人で老後の資産を貯蓄するようになってきております。しかしながら、依然として退職金制度のある会社というのは人材獲得の面で魅力的であることに変わりはありません。
そこで、今回は退職金制度の種類とメリット、デメリット、選び方をご紹介します。

~退職金制度の種類とメリット・デメリット~
〇社内退職金積立
社内で退職金のために積立をして、社内規程に沿って退職時に退職金を支払う制度です。経理処理上は、毎期退職給付引当金を計上し退職金の支払いに備えます。
・メリット
社内規程によって退職金の基準を定めることができるため、会社にとって都合の良い制度を構築することができます(もちろん公序良俗に反しない範囲でありますが)。例えば、勤続年数が一定期間以上の者にのみ支給するや懲戒解雇による退職には支払われない、などの規程を定めることも可能です。
・デメリット
明確に制度として構築するためには、社内規程を定めておく必要があります。また、社内規定に明記されていない事項が発生した場合は、退職者とトラブルになるケースもあります。さらに積立が予定通りに運用されない場合は制度自体が破綻しかねないというリスクもあります。加えて、退職給付引当金は税務上の損金には当たりませんので、

〇中小企業退職金共済
規模が比較的小さな中小企業のみが加入できる退職金制度です。細かな加入条件や計算方法などの説明は割愛しますが、加入者は毎月一定額を掛金として納め、従業員の退職時に規程に沿った退職金が共済から退職者に支払われます。
・メリット
国が運営する退職金制度として認知度が高く、加入者も多いため運営は比較的安定しているといえます。また、毎月の掛金は経費(福利厚生費)として損金の額に算入できるため、法人税の支払いを抑えることができます。そして、会社側は毎月掛金を納めるだけで良いので非常に管理が簡単です。
・デメリット
一番のデメリットとしては、従業員がどのような事情で退職したとしても退職金が支払われるという点です。従業員の中には、会社に大きな損害を与えて退職してしまう者もいるかもしれません。しかし、そのような場合にも共済から退職者へ直接退職金を支払うため会社側から今まで掛けてきた掛金分の返却を求めることはできません。また、従業員ごとに掛金額を設定することはできますが、掛金額を減額する場合には従業員の同意が必要になる点も資金繰りの安定していない会社の場合はデメリットと言えるでしょう。

〇生命保険(養老保険)を使った退職金制度
社内退職金積立と同様に退職金制度についての社内規程を策定し、運用を生命保険にて行う方法です。退職の年齢を60歳と仮定して、60歳に満期になるように生命保険に加入することで、満期保険金を退職金に充てるというものです。
・メリット
社内規程を策定できるため、一定条件(勤続年数○年以上)を満たした者にのみ退職金制度に加入させる等といった比較的自由な設計ができるうえ、積立のために支払った保険料は一部経費として損金の額に算入されるため、法人税を圧縮することができます。また、従業員を被保険者として契約するため、万が一従業員が亡くなった場合は、残された家族に弔慰金(死亡保険金)が支払われることになります。
・デメリット
生命保険の解約返戻率が低い場合、早期に退職金を受け取れる従業員が退職してしまうと解約返戻金が掛けた保険料を下回ってしまう、いわゆる元本割れを起こしてしまう可能性があります。そのような場合には、会社も従業員も得をしない結果になってしまいます。

~中小企業の退職金制度の選び方~
まず最初に重要な事は、「退職金制度は本当に必要なのか」ということです。先述の通り退職金制度を廃止している会社も増加傾向にあり、個人で老後のための資産を形成する選択肢も増えてきています。そんな中、どうして退職金制度が必要なのかということを改めて考える必要があります。退職金制度があることで、従業員が働きやすく、また永く勤めてくれるというのであれば非常に有益ですが、良い人材が入ってきてほしい、とにかく会社の福利厚生をよく見せたいというのであれば、退職金制度以外の選択肢も考えるべきでしょう。
そのうえで、退職金制度を導入するのであれば目的に合ったものを選ぶということが重要です。つまり、なぜ退職金制度が必要なのか、この先の会社経営にどのような役割を果たすのかということを加味したうえで導入するべきということです。

そのために今一度ご自分の会社について見つめ直してみるのはいかがでしょうか。
ご相談は【中小企業の味方 松浦会計事務所】までお気軽にご相談下さい。